「宮本隆治の歌謡ポップス☆一番星」が祝・放送200回達成!
2021.02.02児玉澄子
司会の宮本隆治と相田翔子がゲストを迎えて、音楽のルーツやヒット曲にまつわるエピソードなど「音楽性」にクローズアップしてお届けする人気番組『宮本隆治の歌謡ポップス☆一番星』が、令和3年最初の放送で200回目を迎えた。これを記念して、前・後編にわたってスペシャル回を放送。ゲストには小林幸子、鳥羽一郎、市川由紀乃と節目にふさわしい豪華な顔ぶれがスタジオに揃い、VTRで番組の歴史を振り返りながらそれぞれの歌唱も披露する。
2012年7月14日に放送が始まった同番組は初回ゲストの石川さゆりに始まり、毎回よりすぐりのゲスト1組がスタジオに迎えられるのが恒例で、過去の出演者の中にはすでにレジェンドとなった人物も少なくない。
前編ではかつてミニコーナー「Dr.ケーシーの部屋」にレギュラー出演していたケーシー高峰(2019年4月8日没・享年85)の追悼も。持ちネタの「お色気医事漫談」を駆使して、こまどり姉妹や大月みやこをイジりまくる軽妙洒脱なトークは晩年まで健在だった。
さらにペギー葉山(2017年4月12日没・享年83)、島倉千代子(2013年11月8日没・享年75)を貴重なVTRで偲ぶ。島倉とは今回のゲスト3名ともにゆかりが深く、中でも「母さん」「お幸」と呼び合っていたという小林の思い出トークは尽きない。また普段は無口な鳥羽も「自分が生意気だった頃に飯に連れていってくれて……」と秘話を明かしている。市川は2019年の初座長公演で島倉を演じており、歌唱コーナーではそのステージでも歌った日本レコード大賞最優秀歌唱賞受賞曲『雪恋華』を披露する。
もちろん新春に加えて200回記念だけに、しんみりしてばかりではない。山川豊の出演回のVTRが流れると、すかさず宮本が「弟さんの日本レコード大賞新人賞の受賞現場に"侵入"したときのことを……」と巧みなトークで当時のエピソードを引き出すなど、賑やかに番組は進行する(※鳥羽は山川より1年半遅れて歌手デビューしている)。
さらに鳥羽の歌唱コーナーでは、実の息子たちが結成したアコースティックデュオ・竜徹日記のギター弾き語りで『カサブランカ・グッバイ』を披露する。かねてより息子たちとの共演を熱望していただけに「初夢」が叶った形だ。ちなみに竜徹日記については宮本は「海の匂いがまったくしない」、小林は「イケメン!」、市川は「鳥羽先輩に似ていらっしゃる」と言っており、ぜひ親子共演を確認してもらいたい。
そして小林は『おもいで酒』を歌唱コーナーで披露する。10歳でのデビュー曲「ウソツキ鴎」で話題になるものの、15年間もヒット曲に恵まれなかった絶望、それでも歌を諦められなかった思いを語りながら、「記念すべき回だからこそ節目の曲を」と番組にはなむけを贈る。
主に貴重なVTRや懐かしい名曲で構成された前編に対して、後編はゲストの現在進行形の活躍がクローズアップされる。
近年はYouTubeでの発信も積極的に行う市川は、最新曲『なごり歌』を歌唱コーナーで披露。こちらはYouTubeで気鋭のピアニスト・よみぃとのコラボバージョンも話題になった曲だ。
YouTubeについては昨年には八代亜紀が参入したことが話題になり、宮本も「古希をきっかけに始めたんです」と明かすと、演歌界でいち早くネットで新境地を開いた小林がボーカロイドについて鳥羽に解説。「飛び込んでみないとわからない面白い世界よ!」と熱弁すると、鳥羽も「(YouTubeを)娘に撮ってもらおうかなあ」とまんざらでもない様子。令和3年は鳥羽一郎のYouTuberデビューもあるかもしれない!?
そんな鳥羽は『戻れないんだよ』。そして小林はロックミュージシャン・松岡充とコラボした『しろくろましろ』と、それぞれ最新曲を歌唱コーナーで披露する。
さらにダイジェストVTRコーナーでは、2015、16年の一番星コンサートや、吉幾三、山本譲二、香西かおり、そして鳥羽が揃って酒宴まじりのトークを繰り広げた14年の「新春!新年会」の模様を紹介。酒豪ぞろいとされる演歌界だが、特に山本と吉の悪ノリぶりは宮本が「あれは放送して良いものだったのでしょうか」と振り返るほどの放送事故モノ? そんなツワモノたちの中でマイペースで酒を飲み続ける鳥羽、演歌界随一のモテ男と称される風情が印象的だ。
そのほかロケ企画(北島三郎、水森かおり、和田アキ子、純烈、増位山太志郎、前川清、大月みやこ)のダイジェストVTRも。
2020年は新型コロナの影響で番組ロケは行われなかったが、スタジオとはまた違った素顔が引き出されるのがロケの魅力。小林が「東京で初めて住んだ町にロケに行きたい」と語ると、鳥羽も「(最初に住んだアパートで)くさやを焼いて怒られたなあ」と上京当初を振り返り、市川は「谷根千で食べ歩きロケをしたいです」と目を輝かせる。
最新曲とともに2021年の希望が語られた後編を節目に、『歌謡ポップス☆一番星』がますます演歌・歌謡界を盛り上げてくれることに期待したい。
(文=児玉澄子)